コレットチャックも「消耗品」!
2016-04-15
いつもブログを見ていただき、ありがとうございます。では、4月15日金曜日、103日目 のブログです!
先日、お客様から「トリーマーの軸が折れた!」との連絡を頂きました。お話を良く聞くと、「コレットチャックの中で折れて、ルータービットがテーブルの上に落ちていた」とのこと。状況がつかめなかったので、「折れてしまった現物を取っておいてまた見せてください」とお願いして、後日、お客様のところへお邪魔すると、
こんな状態の折れたトリーマービットが・・・
正直、加工する刃に近い部分から折れることはしばしばあることなのですが、チャックでつかんでいる部分の「中から」折れてしまう状況は経験が無く、ひとまず現物をお預かりして細かく見てみました。
すると、軸の部分に「こすれた跡」がありました。また、実際にコレットチャックでつかんでいる部分が「浅い」のではないかと思われる跡もありました。
あくまで推測ではありますが、
①チャックを浅くつかんでいたために、「面」でつかんでいなければならない部分が「点」でつかんでいた可能性がある(・・・この点については、詳細は割愛させて頂きます)
②コレットチャックの「口」の部分が長年の使用で磨耗し、口の部分がひらいてしまった
こんなことが考えられ、これらの影響で、ルータービットが回転の際に振動し、その結果、コレットチャックでつかんでいるのにも関わらず、チャックの中で折れてしまったのではないかという結論になり、お客様に説明させて頂きました。
①の件については、お客様はすぐにご納得されたのですが、②については少々驚かれて、「コレットチャックって、半永久的に使えるものじゃないの?」いう問いかけに対して、「シャンクが出入りする時点で、金属がこすれあっているのですから、ほんのわずかずつ磨り減っていきます。チャックの口の部分については、なおさら磨耗が進みやすいので、毎回とまではいかないまでも、時々はコレットチャックの口の部分を確認しておいたほうがいいですよ」というお話をさせて頂きました。
そのお客様は、今回の問題が発生したコレットチャックに関しては、機械導入から使い続けてこられたチャックで、5年以上は使用しているとのことでした。
使用頻度にもよりますので、なんともいえませんが、少し「気を使ったほうがいい時期」かもしれませんね。
全国機械用刃物研磨工業協同組合の再研磨仕上げ基準では、ルータについては、「外径精度は0.03㎜とする」とあります。仮に、再研磨したルーターの外径精度が0.02㎜であったとしても、コレットチャックが磨耗によって0.01㎜の「片減り」があったとすると、刃物本体の0.02㎜とコレットが原因の振れが回転によって倍になり0.02㎜になるので、この時点で、0.04㎜のブレになってしまい、再研磨仕上げ基準に対して0.01㎜オーバーしたことになってしまいます。
今回のことで、改めてコレットチャックを製造しているメーカーさんのホームページをいろいろ拝見させて頂きましたが、ほとんどのサイトで「コレットチャックは消耗品です」という記述がありました。
私も曲がりなりにも「技能士一級」の資格を持っているのですが、その技能検定のルーター研磨の実技の練習の際に、ルーターをコレットチャックから引き抜くときに硬くてなかなか抜けなかったためにルーターを「まわして」引き抜こうとすると、指導員の方から「コレットが痛むからまわすな!」とご指導を受けたことがあります。
ルータービットの軸が痛んでしまうのは、その刃物だけの話で済みますが、コレットチャックが傷んでしまっては、いくらいい再研磨をしても、その性能を十分に発揮できなくなってしまいます。刃物を装着する部分については、コレットチャックにしても、チップソーを装着する「軸」についても、「加工精度の命」ともいえますので、これからはほんの少し、「装着される側」の部品に気を配っていただけばと思います。
では、明日は広島市で刃研組合の青年部会総会があります!いよいよ私も刃研組合青年部会を卒業です!
その模様は明日のブログで・・・・
では、明日からのお休みも
即断! 即決! 即実行!
「やるなら 『今』 しかねえ!」
チップソーの歪(ヒズミ)(その2)
2016-04-08
いつもブログを見ていただき、ありがとうございます。週末金曜日、風は少々冷たかったのですが、日差しは暖かい一日でした。では、4月8日金曜日、96日目 のブログです!
昨日に引き続き、今日も「チップソーのヒズミ(歪)」について・・・
<歪が出たかどうかの確認方法>
仕上がりが悪くなった場合にチップソーに歪が出たかどうかを確認する方法ですが、汚れなどの付き方でわかる場合もありますが、調べ方としては、明るい方向を向いてチップソーを縦に持ち(横に持つと、チップソーそのものの重さで「たわんでしまう」ため)、定規を当ててみます。定規とチップソー本体の間に明るく見える「すき間」があれば、そこの部分が「歪が発生している箇所」になります。当てる箇所を変えたり、チップソーを回転させながら数箇所調べることで、歪がどのように出ているかを知ることができます。
我々業者が使っているような専用の定規を使用しなくても、市販されている直定規(できれば金属製の定規)をチップソーの台金に当てることで歪が出ているかどうかを確認することができます。仕上がりが悪い場合、簡単 な検査で歪を見ることをお勧めします。
我々業者ではこのような直定規を使いますが、市販の「金定規」でも代用可能です。
<歪の処置について>
歪が発生してしまったチップソーは、「歪なおし」を行います。「歪なおし」とは台金を平坦にする事で、専用定規やハンマー等を使い表面の凹凸の状態をみながら手加工により修正していきます。この作業には長年の経験「熟練」を要します。ご自身でされるのは、さらに状況をひどくする可能性がありますので、必ずチップソーメーカーもしくはお取引されている研磨業者へご依頼ください。
<歪の発生防止対策>
前回お伝えしたとおり、切削作業を行うと切削熱が必ず発生します。無理な使用は切削熱をより多く発生させてしまいます。その切削熱は、使用回数が多くなるにつれ、チップソー本体に徐々に影響をあたえ、刃先だけでなく台金にも悪い影響を及ぼし、最終的に歪が発生する原因となります。そのため、歪を完全に防止する事は難しいですが、「歪」を意識して日頃の作業に取組むことにより発生度合いを軽減させ、より良い作業環境を作る事はできます。
- 機械設備のメンテナンスの励行
- 加工条件の合った刃物選択(刃数、刃厚、放熱、防振等)
- 刃物の使いすぎ等の過酷な使用の改善
- 刃物保管の方法
- 必要以上の台金厚の薄いチップソーは使用しない(台金が薄いほど歪は発生しやすいです)
などです。
これらのことは、すべて、「無理をせずに正しい取扱い方法を守る」ということです。「良く歪が出て困っている」という方がいらっしゃいましたら、使用方法や加工機械の状態などをもう一度見直されてはいかがでしょうか。
明日4月9日土曜日、10日日曜日は大府精巧はお休みを頂きます。ご了承下さい。
では、週末も
即断! 即決! 即実行!
「やるなら 『今』 しかねえ!」
チップソーの「ヒズミ(歪)」(その1)
2016-04-07
いつもブログを見ていただき、ありがとうございます。今日は久しぶりの強い雨となってしまいました。まさに「花散らしの雨」でしたね。では、4月7日木曜日、95日目 のブログです!
今日は「チップソーのヒズミ(歪)」のお話の第一弾です。
チップソーを使用しているときに、表面の仕上がりが悪い、あるいは加工しているときの音がいつもと違うなど、異常な状況の場合の原因の一つがチップソーに発生してしまった「歪(ヒズミ)」が挙げられます。
歪とは、「本来まっすぐであるべき台金が、何等かの理由により部分的あるいは全体的に湾曲(わんきょく)した状態」をいいます。そして、その種類としては、
- 「部分的歪」:台金の所々に凹凸が出来る
- 「おわん歪(かぶり)」:“おわん状”に左右どちらかに弓なりに曲がる
- 「折れ曲り」:座屈(ざくつ)「折れ的」変形
などがあり、これらが複合的に発生する場合もあります。(注)
(注)なお、チップソーの歪の場合、チップソーの「腰(こし)」という問題も同時に発生する場合があります。日頃、「チップソーの腰が抜ける」という表現をしますが、チップソーの台金部分の異常という点でいえば、この「腰」についての説明も非常に重要です。しかしながら、「腰」に関してはかなり複雑ですので、ここではわかりやすくするために歪についてのみお話していきます。
<歪(ヒズミ)の発生原因は?>
チップソーの歪は、さまざまな原因が複合的に絡んで発生します。その中でも一番大きな原因は、「切削加工中に発生する熱の影響」です。
チップソーは、材料と接触しながらその材料を加工していきます。そのため、摩擦熱が必ず発生します。その摩擦熱は、刃先が摩耗して切れなくなったチップソーでは、より高く発生します。さらに、刃先だけでなく、チップソーの台金部分も材料の締め付けによる接触で摩擦熱を発生します。先日お伝えした「切り粉」がうまく排出されないと、それも摩擦熱発生の原因になります。
それらの摩擦熱が台金に影響を与えて歪を発生させる原因となります。この点からも、チップソーの無理な使用は控えたほうがいいのです。
その他の原因としては、
・フランジの精度不良による鋸のブレ
・ギャングソーなどキャタピラ送りの左右の速度誤差による鋸へのダメージ
・難材加工による直進性不良で生じる鋸へのダメージ
・加工の際に材料にあてる定規がまっすぐになっていない。
・何等かの理由で回転方向に対して横から大きな力が入った
など、加工条件や機械的要素など、さまざまな、そして複合的な原因で歪は発生します。
<歪(ヒズミ)が起こったチップソーで加工すると?(歪による影響)>
歪や腰の状態が悪いと、刃物に振れが生じた状態で使用することになります。当然、さまざまな面で悪影響を及ぼします。
刃先が振れながら材料を加工することになりますので、カット精度も出ませんし、カット面の仕上がりも当然悪くなります。ナイフマークが強く出たり、材料にメラミンや紙が貼っている材料を加工した時にバリが発生したりと、その仕上がりが悪くなったりします。
また、歪が発生したままの状態でチップソーを使用するということは、無理な状態で使用していることになります。そのため、チップソーのライフ(刃持ち)が悪くなり、また、刃物本体の耐久性が低下し、最悪、チップソー本体が破損(割れなど)してしまうことがありますので、十分注意してください。
今日はこの辺で。後日、この続きをお伝えします。
では明日も、
即断! 即決! 即実行!
「やるなら 『今』 しかねえ!」
チップソーの「刃持ちが悪くなる」原因について
2016-04-03
いつもブログを見ていただき、ありがとうございます。今日は日中は何とか持ちましたが、夜からは雨になる予報、この雨で、桜も多少は散ってしまうのでしょうね・・・残念です!では4月3日日曜日、91日目のブログです!
お客様との会話の中で、「このチップソーはもうチップが小さいですが、どうしますか?」という話をよくします。それは、「刃持ちが悪いからもう新品に交換してしまおう」というお客様と、「刃持ちが悪くてもいいから、刃先の超硬チップがあるかぎり、ぎりぎりまで使う」というお客様がいるからです。
本来、再研磨をすれば、新品同様の切れ味になるように再研磨業者は研磨をしているのですが、経験から言って、「研磨回数が進むにつれて『刃持ち(ライフ)」が悪くなっていく』のは仕方のないこと」と思われている方も多いと思います。本来であれば再研磨した刃物は新品時のキレ・刃持ちを再現するのが理想なのですが、それがなかなかできないのが現状です。
なぜ、チップソーの場合、「再研磨が進んで刃先チップが小さくなると、『刃持ちが悪くなる』のか?」の考えられる理由として、
・刃先チップの疲労蓄積により、(細かい)刃カケが起きやすくなる
・繰り返しの使用で、台金部分のひずみ・フレが出やすくなる
・チップが小さくなることによる切り粉の滑りが悪くなることの影響
等々、様々な理由が考えられますが、最も大きな要因と考えられるのが、刃先とチップソー台金の高低差(いわゆるアサリ)が少なくなることです。
図のように、再研磨によって、新品の時と比較して、刃先と台金の高低差が少なくなってしまう、「アサリがなくなる」状態になります。それによって、新品時には刃先のみが材料に当たっていた状況が、再研磨が進むにつれて刃先だけでなく、台金が材料に触れながら材料を切っていく状況が多くなり、そのために「重たい」「擦る(こする)ような感じになる」ために、「刃持ちが悪くなる」と考えられます。
このようなこともあり、その一方で、刃先チップが小さくなることで刃先の耐久性も確実に落ち、刃先が欠けやすくなりますので、刃物そのものを長く使いたいという場合は、加工量は減りますが、刃先チップが小さくなってくるほどに早め早めの交換がお勧めです。
(参考・引用資料 全国機械用刃物研磨工業協同組合青年部会 作成 「こうすれば儲かる!? 刃物取り扱いの基礎のキソ」(青年部会内研修資料))
では、明日は月曜日、本格的に年度初めがスタートします。ぐずぐずしているとあっという間にゴールデンウィーク・・・がんばります!
さあ、明日も、
即断! 即決! 即実行!
「やるなら 『今』 しかねえ!」
チップソーの「整形加工」の大切さ
2016-04-01
いつもブログを見ていただき、ありがとうございます。新年度の始まりは雨の一日となりました。しかし、そんなに強い雨ではなく「花散らしの雨」にはならずにすみそうです。では、4月1日金曜日、89日目のブログです!
大府精巧は「機械用刃物の製造及び再研磨」を生業の柱にしております。その中でも「チップソーの研磨」は、創業以来、常に再研磨品の取り扱いの中心となっています。チップソーは一般の方でも、男性であれば、中学校の技術の授業で見たことのあるかもしれない刃物です。ホームセンターも普通に売っています。
その再研磨の際に、一番重視しないといけないことが「刃先の精度」でありますが、ここでは、チップソー本体の「整形加工の大切さ」をお伝えしたいと思います。
チップソーは、回転することによって刃先が加工材(木材やプラスチックなど)にあたり、その刃先が当たった部分を取り除き、その繰り返しで材料を切断していきます。その刃先の状況(きちんと刃先が鋭利になっているか、刃先の角度は設計どおりの角度になっているかなど)は確かに重要ではありますが、見落としがちなのが、「切削した後の『切りくず』がスムースに刃物から離れているか」です。
これは、切りくず(切り粉)が刃先の周辺にとどまっていると、その切りくずが再度刃先に当たって、刃先の磨耗が進めてしまう、また、切りくずがうまく移動(排出)できずに刃物の本体部分にとどまっていると、切りくずがチップソー本体と接触することによって摩擦熱が発生し、その熱がチップソー本体の「歪(ひずみ)」の一因にもなってしまう可能性があるということです。
つまり、切断した次の瞬間に、切りくずがどのように移動するかによって、その刃物のライフや仕上がり、刃物本体への悪影響などが発生する可能性があるということです。
これに多大な影響をもたらすのが「チップソー本体の整形加工の良し悪し」です。
チップソーには、「刃室(あるいは刃袋)」と呼ばれる部分と「背中」(下の図の中には正式な名称はありませんが、「先端逃げ面」とある部分の本体部部になります)と呼んでいる部分があります。その部分については、再研磨のときに状況判断して、必要に応じて「整形加工」(大府精巧では「背取り」と呼んでいます)をします。
研磨業者の立場から言えば、この「背取り作業」をきちんとしておかないと、鉄である本体部分が超硬合金である刃先を研磨する「ダイヤモンドホイール」に悪影響を与えて刃先の再研磨の際に「良い刃が付かない」ということがあります(この点については、また改めてお伝えします)。
さて、チップソーを使用しての材料の切断などの加工の際には、「材料を切削したその次の瞬間に切りくずが発生」し、その切りくずが刃物本体の近くを通過して刃物から離れていきますが、その通過する部分が「刃室」であり「背中」です。
仮に、刃室部分がきれいな形になっていないと、その部分に切りくずが滞留することになります。それは「切りくずをさらに切る」ことになります。無駄に刃先を使っていることになります。また、背中部分がきれいな形になっていないと、スムースに切りくずがチップソー本体から離れず、摩擦熱の発生の原因になります。
このように、ついつい刃先部分に目が行きがちなのですが、チップソーに関しては、本体部分の整形加工も重要なのです。
大府精巧では、その整形加工に関しても重視をして、チップソーの整形加工をする機械を導入して対応しています。場合によっては技術者の手作業で整形加工をしますが、それも熟練の技できれいな形の整形加工をしております。このことによって、お客様により良い状態でチップソーを使用してもらえるようにしております。
研磨業者の良し悪しを判断する際には、「チップソーの背取りがされているか」あるいは「チップソーの背取りがきちんときれいな形でされているか」を見ていただくといいのかも知れません。
(天龍製鋸さんのカタログからお借りしました)
では、明日からの土曜・日曜は大府精巧はお休みを頂きます。ご了承下さい。
休日ではありますが・・・・
明日も
即断! 即決! 即実行!
「やるなら 『今』 しかねえ!」
続・SKH51
2016-03-23
いつもブログを見ていただき、ありがとうございます。では、3月23日水曜日、80日目のブログです!
先日は「高速工具鋼」である「SKH」(ハイス鋼<はいすこう>)について少し書かせていただきました。刃物素材として非常に使われているものですが、SKHでも細かく分類されますが、大きく分けると
・タングステン系・・・SKH2、SKH3、SKH4、SKH10
・モリブデン系・・・・SKH51、SKH52 など
そして、「粉末ハイス(SKH40)」と呼ばれるものもあります。
何によってこのように分類されるかというと、粉末ハイスは製造方法が違うということで異なるのですが、
タングステン(元素記号は「W」)系・モリブデン(元素記号は「Mo」)系の区分は、「添加される金属の種類(割合)」によって分けられています。
それぞれの特徴として、本当に乱暴に書いてしまうと、
・タングステン系は衝撃に強い、つまり、「硬い」
・モリブデン系は欠けにくい、つまり「粘りがある」
ということがいえると思います。
話は変わりますが、以前、製缶製造業をされているお客様から「バイブローシャー刃」と呼ばれるもの製作のご相談を受け、製作をしました。このお客様、バイブローシャー刃を調達していた会社が廃業されたために、製作できる業者を探していたところ、大府精巧にご相談を頂いた次第です。
その際に、工具の形状は現在使用しているものを採寸することで何とかなったのですが、素材の種類までははっきりしておらず、その際に「ハイスだと思う」というお客様の話のみでした。
そのため、最初は、刃物製造の際に一番良く使われている、モリブデン系の「SKH51」で作成して納品させていただいたところ、「依然使っていたものよりも刃持ちがまったく悪い」というご指摘。そのため、鋼材業者とも相談した上で、今度は焼入れ硬度等も調整しながら、タングステン系の「SKH3」で作成してご使用いただいたところ、良好な結果が得られたため、今現在もリピートを頂いております。
これは、おそらく、金属加工をする工具としては、「粘り」よりも「硬さ」のあるタングステン系の「SKH3」のほうが相性がよかったのではないかと思っています。
しかし、金属加工だから必ずタングステン系のSKHのほうが良いというわけではないので、それは、刃物・工具の使用状況や、加工材料等によっても様々な角度から検討しなければならないと思います。
このように、この年齢になってもお客様とのお付き合いの中から、いろいろなことを勉強させていただいて本当に感謝ですし、まだまだ知らないことばかりで、「日々是勉強」「一生勉強」を肝に銘じて、毎日貪欲に様々なことを吸収しないといけないですね!
では、明日も
即断! 即決! 即実行!
「やるなら 『今』 しかねえ!」
「SKH51」
2016-03-22
いつもブログを見ていただき、ありがとうございます。では、3月22日火曜日、79日目のブログです!
あるお客様から、刃物作成のお問い合わせを頂きました。ある材料を切断する刃物なんですが、材質の指定が「SKH-9」。
「SKH」と聞くと、一歩間違えるとアイドルグループの名前かと思ってしまいますが、金属材料の名前です。
日本語では「高速度鋼」あるいは「高速工具鋼」とも呼ばれるもので、「ハイス」とも呼ばれる材料です。刃物の材料としては、かなりメジャーな材料ですし、あらゆる加工現場にこの「ハイス鋼」の刃物は使われています。このSKH、成分内容によっても細かく分類されていまして、「SKH3」というように、SKHの後ろに数字が入ることで、その成分が規定されています。
1月12日のブログにも少し書かせてもらいましたが、私どもが取り扱う「よく刃物に使う金属材料」としては、
・炭素工具鋼(SK材)
・合金工具鋼(SKD材)・・・・ダイス鋼などと呼ばれる
・高速度工具鋼(SKH材)
などがあり、さらには、食品関連の刃物には、ステンレス鋼(SUS材)なども使用します。
これらのアルファベットの後ろに決まった数字が付くことで、それぞれの種類が細かく決まります。
ここで、最初の話に戻りますが、お客様から「SKH-9」という材質指定を受けたときに、「SKH-9ってあったっけ?」という疑問が。
そこで、お客様には「SKH-9という材料の取り扱いをしたことが無いので、調べてからまたお見積りをさせて頂きます」と一旦ご返事させて頂き、しかし、少し違和感があったので、この機会にもう一度調べなおすと、
『「SKH-9」というのは昔の呼び方で、現在の「SKH-51」に相当する』ということが発覚!
(というか、恥ずかしながら、知らなかっただけなのですが・・・)
刃物業界の中では、「SHK-51」というのは、ハイス鋼の中でも一番使用されている種類のものです。この旨をお客様にご説明させて頂き、「材質 SKH-51」にてお見積りをさせて頂きました。
この原因は、昔の「JIS規格の改定」。JIS規格は、時々改定があり、その際に名称が変わることもしばしば・・・今回もお客様に勉強をさせて頂きました。感謝感謝です。
同じハイス鋼でも、加工・切削する材料や使用方法により相性があり、「ハイス鋼で」というお客様のご指定にもかかわらず、思ったよりも切れが悪かったり刃持ちがしなかったりもします。刃物を製作する際には、やはり「使用する現場の声」を聞くことが大切になりますね!
材料に関する話は改めてまたもう少し細かく書かせていただきます。
では、明日も
即断! 即決! 即実行!
「やるなら 『今』 しかねえ!」
「粉砕刃」も重量バランスは重要です!
2016-03-12
おはようございます。ブログ担当の山口です。
大府精巧は本日お休みをいただいております。よろしくお願いいたします。
早速、3月12日、71日目のブログです!
先日、回転刃物の重量バランスについてお伝えしたばかりですが、
あるお客様から粉砕刃の研磨をご依頼いただきました。お客様のところにお邪魔して回転刃の状態を確認しました。
そうすると、刃先の欠けが少々あったのですが、粉砕刃については、刃先のカケにつてはよくあることですので問題ないのですが、
刃物の高さ(幅)がバラバラになっていました。
並べてみると、高さの違いがよくわかります。
これは、先日お伝えしたとおり、加工の際の「ブレ」につながってしまいます。
お客様にその点をお伝えして、先日の「洗濯機の脱水のときの片寄り」の説明をさせて頂いたところ、すぐにお分かりいただき、「これが振動の原因か~」とご納得いただきました。
先日お伝えしたとおり、回転刃物の重量バランスはとても重要なのですが、特に粉砕刃などの大きなものについては、このバランスがあまりに大きいと、回転軸のブレが大きくなり、
取り付けの際、つまり回転が止まっている時には回転刃と固定刃のクリアランスがよかったのに、回転させてみると軸のブレにより回転刃と固定刃が当たってしまう可能性があります。そうすると、刃物の刃先がすぐに傷んでしまったり、ブレにより、回転刃と固定刃のクリアランスが出なくなり、粉砕の効率が悪くなるなどの問題が発生します。
このほかに、振動により騒音が大きくなる、機械が故障しやすくなるなど問題が発生する可能性が高くなります。
まず第一に、「回転刃の高さをセットでそろえる」ことがとても重要になります。
しかしながら、本来であれば、高さをそろえたいのですが、今回ついては、予備の刃物がないなどの問題から、一番高さの低いものにあわせる作業をしてしまうと、一気に高さが減ってしまうものもあることから、「そのままで再研磨しておいて」ということになりました。
それでも、なるべく軸のブレをなくす方法があります。
それは、「軸の片側だけに重たいものをかためてセットしない」ということを再研磨後にお届けする時にお願いするつもりです。
具体的には、「高さのなるべく同じものを、軸に対して『対角線』に取り付ける」というものです。
こうすることで、重量バランスが多少なりとも整えられるので、まったく考えずに取り付ける場合よりブレの程度は抑えられるのではないか考えます。
しかし、これはあくまで「緊急避難」的な対処ですので、
ひとつの軸にセットする刃物については、重量を同じにする、つまり、高さを同じにすることが、重要になることを改めて認識していただけるとよりよい加工ができるのではないかと思います。
では、今日も
即断! 即決! 即実行!
「やるなら 『今』 しかねえ!」
回転刃物にとっての「重量バランス」の重要性
2016-03-10
いつもブログを見ていただき、ありがとうございます。 3月10日、69日目のブログです!
先日、あるお客様からお預かりした「プレーナーナイフ」の再研磨品を会社に帰ってから確認したところ、3枚セットのうち、一枚が明らかに高さ(幅)が違うものがまぎれていました。お客様に確認したところ、「1枚だけ欠けてしまったから、それだけ交換した」とのこと。
「機械のブレとか仕上がりが悪かったりしませんでしたか?」とお伺いしたところ、「作業はできるんだけど、いつもより切れが悪いような感じがした」とのお答えを頂きました。
この原因は、「重量バランスが崩れている」ことによる「ブレ」などの発生によるものと思われます。
弊社が得意としている「超硬ジョインターナイフ」は、写真のような「カンナ胴」あるいは「ブロック」と呼ばれるものに装着して使用します。
その際には、3枚もしくは4枚セットの、一枚一枚の重量を同じにしておかなくてはなりません。重量がそろっていないと、回転の際の遠心力に差が出てしまい、「軸のブレ」につながるからです。
洗濯機の脱水のときに、洗濯層の中の洗濯物が「片寄り」している状態を経験されたことがありますでしょうか。洗濯物が片寄りしている状態で脱水を始めると、洗濯機そのものが踊るような状態、あるいは「暴れまわる」ような状態になると思います。
同じ現象が回転刃物でも発生するのです。
この状態は成型カッターなどにも当てはまります。全国機械用刃物研磨工業協同組合の基準では、「外径120Фのカッターの重量バランスは2グラムまでとする」としています。
回転刃物を使用して、加工の際に機械の「ブレ」を感じるようであれば、機械の点検だけでなく、刃物の「バランス」を確認してもらってはいかがでしょうか。
では、明日は週末金曜日、3月も中旬となります。来週は忙しい一週間になりますので、しっかりと計画を立てていきたいと思います!
即断! 即決! 即実行!
「やるなら 『今』 しかねえ!」
チップソーの保管、寝せていませんか?
2016-03-08
おはようございます。ブログ担当の山口です。早速、3月9日、68日目のブログです!
今日は刃物の保管方法、チップソーの保管方法についてです。
「箱で保管してください!」というのは、以前のブログで紹介しましたが、チップソーに関しては、その保管方法も刃物の精度を守るためには大切になります。
ズバリ、「寝かせずに立てて置いてください!」ということです。
これは、「チップソーに歪(ひずみ・ゆがみ)を出さないため」の対策です。
まず、寝かせて置いておく事で、チップソーそのものの重さでチップソーに歪が出やすくなります。
長い金属の丸棒、あるいは、薄い鉄板などを想像してください。横にすると、「たわむ」状態になるとおもいます。それと同じです。
チップソーも同じような現象が少なからず起こります。そんな状態をなるべくなくしてやる、つまり、立てて保管することでで、チップソーが歪んでしまうことを極力防いでやるのです。これが、チップソーが大きければ大きいほど、その影響は出やすくなります。大きなチップソーを立てて保管するのは大変かもしれませんが、大きなチップソーは、大きいというだけで精度が出にくくなっています。その上、歪が発生してしまうとより精度の高い作業ができなくなります。
さらに、重ねて横に保管すると、チップソーそのものの重さだけでなく、上にのっているチップソーの重さも、一番下のチップソーにかかってしまい、よりゆがみが出やすくなってしまいます。この点からも、チップソーは立てて保管しておくのがいいのです。
箱に入れずに、刃がむき出しのまま保管している状況は、危険だけでなく、刃先を傷める原因になりますのでやめましょう!
取り扱いの観点からも、「立てていると刃物が取りやすくなる」などの良い点ばかりです。一度、保管方法を見直してみてはいかがでしょうか。
(参考・引用資料 全国機械用刃物研磨工業協同組合青年部会 作成 「こうすれば儲かる!? 刃物取り扱いの基礎のキソ」(青年部会内研修資料))
では、今日は昨日に比べるとかなり気温が低くなりそうです。体調管理もしっかりと、今日は「南へ北へ」と走り回ります!
即断! 即決! 即実行!
「やるなら 『今』 しかねえ!」
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